4.固定費と変動費
[ 用語の意味・背景 ]
経営診断・設計の諸手法の中でも、直接比較法や標準比較法では個々の費用項目も検討対象とすることもありますが、より大局的に経営の内容を把握しようとする損益分岐点分析や限界分析等では、費用項目を大きく「固定費」と「変動費」に分けて分析を行っています。経営分析に関して、固定費と変動費の意味を理解しておくことが大切です。
[ 概 要 ]
Ⅰ.固定費
生産量の増減に関係なく、一定の金額で発生する費用です。物財費の中では建物や機械・施設の減価償却費がこれに当たります。利潤の産出に必要な家族労働費や自作地地代・自己資本利子も固定費として扱います。
固定費は総額が一定ですから、生産量が増加すれば生産物単位当たりの固定費は減少します。
機械・施設等は、経営規模に合ったものを選び、能力一杯に活用することがコスト低減のために重要です。
家族労働費は、通常、家計費の専従者分を計上しますが、専従者に月給等を払っている場合は、当然加算します。生産費に占める労働費を低減するには、年間を通じてできるだけ「ムラ」なく働けるよう経営方式を考えることが必要です。
2.変動費
生産量の増減に伴って、ほぼ比例的に増減する費用で、肥料費、飼料費、農薬費、光熱動力費等が主なものです。通常は、大まかに物財費から減価償却費を引いた額を変動費としています。
しかし、例えば、土地改良費、水利費等は借地主体の経営で借り手が負担する場合は借地面積に比例的ですが、自作地主体で経営面積に大きい変動のない経営では、むしろ固定的になります。
これまで見てきた費用項目を固定費と変動費に大別すると下図のようになります。厳密に考えると、同じ費目に両者含まれていたり、経営条件によって取り扱いが異なったりしますが、経営分析に応用する場合には、大まかな区分でまず取り組んでみることが必要です。