第1回担当者会議

6.減価償却と償還

[ 用語の意味・背景 ]
減価償却費は、固定費の主要部分を占める費用項目ですが、変動費のように単年度ごとの支出項目ではないので、その取り扱いは特別の留意が必要です。
特に、平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以降に取得する原価償却資産について計算方法が大幅に改正され、残存価格は廃止され1円まで償却されることになりました。

[ 概 要 ]
1.減価償却
 減価償却とは、機械・施設等2年以上にわたって利用する土地以外の固定資産について、既に投下した資本額を耐用期間中に分割して年々回収していくことです。従って、経営費に計上した減価償却費分は、各年度の粗収入から分離して留保しておき、耐用期間を終わった固定資産の更新に備えることが必要です。
 減価償却費の計算方法には、定額法、定率法、比例法等があります。比例法はあまり使用されないので、ここでは省略します。

1)定額法
定額法は、耐用期間中、償却額が原則毎年一定額を償却する方法で、最も一般的に用いられ、次により計算します。

     原価償却額 =  取得価格×定額法の償却率(償却年数により決まり、毎年同じである)
(最終年の原価償却額 = 原価償却額-1円)

2)低率法
定率法は耐用期間中、償却費の額は初めの年ほど多く年とともに減少します。
但し、定率法の償却率により計画した償却額が「償却補償額」に満たなくなった年分以降は、毎年同額になります。償却費の計算方法次により計算します。

   原価償却費 = 未償却残高×定率法償却率(「調整前償却額」と言うことがあります)
(上記の金額が償却補償額に満たなくなった年分以降は改訂取得価格×改訂償却費  の算式により計算します)
<注>
①償却補償額とは:資産の取得価格に当該資産の耐用年数に応じた保証率を乗じた金額を言います。
②改訂取得金額とは:調整前償却額が初めて補償金額を満たないこととなる年の期首末償却残高を言います。
③改訂償却率とは:改訂取得価格に対しその償却額がその後同一となるように当該資産の耐用年数に応じた償却率を言います。

3.償 還
 複数年にわたる返済契約の借入金について、元金と利息を年賦で返済することです。本来、家族経営の場合は農業所得から家計費等を差し引いた農家経済余剰、企業経営では利潤の範囲内で充当できることが理想です。
しかし、一般の家族経営において、減価償却費の積立を行った上で、更に償還金も支出することは困難な場合が多いので、制度資金貸し付けの際には、農家経済余剰と減価償却費の合計額を償還可能額の目安に置いています。

 減価償却と償還の意味は上記の通りですが、粗収入の中に包含されて回収される減価償却は、農業所得とは明確に区別して取り扱うことが必要です。それを、将来の更新に備えて積み立てておくか、償還金に振り向けるかは経営者の自由です。
しかし、全てを償還金に当てていたのでは、次に固定資産を調達するときに、また借入金に頼らなければなりません。従って、少なくとも償却費の一部は蓄積に回し、出来れば所得の一部をもこれに加えて自己資金の増大を図り、経営規模の拡大を安定的に進め得るような条件を作り出していくことが必要です。