1.これからの地域農業の組織化を考える
[ 概 要 ]
1.はじめに
①人間は明るく、美しく、楽しいものに引かれます。「農業は八方ふさがりで将来が不安、魅力のないもの」という認識からは何も生まれません。
②今問われるのは「農家自身はもちろん、関係者を含め農業に愛情を持てるかどうか」であります。愛情を持てないものに一生懸命になれるはずがありません。
③そこで、自分のいる集落や地域に対して魅力を見いだす運動が必要になります。地域づくり、むらづくりがそれです。
④地域おこしの仕掛け人は、足下にある魅力や良さを発見する名人です。
2.組織化農業のすすめ(その1)
①人が地域に定着するためには、農業なら農業が中心となる就業の場の確保が大切であります。
ここに生産性の向上とか高付加価値農業を目指す意味があります。
②集落(地域)営農の推進とは、このような考えの下に集落(地域)の営農を確立するために、地域づくり、むらづくりをどうするかという課題です。
③最終的には、地域農業をどう組織化(システム化)し確立していくかの課題であり、ここで
は日本の企業の組織化が参考になります。
3.組織化農業のすすめ(その2)
①日本企業の組織力の強さの秘密は、企業者機能の発揮を個人レベルでなく、組織を通して行っていることと言われています。
②農業でも参考にする点は、市場経済に太刀打ちするためには、企業者意識を持ち個人が努力することです。農業者一人一人が自らの農業の方向を切り開き、そのなかで役割を演じることが必要です。そのためには組織を作り、その中でそれぞれの役割を演ずる必要があります。
4.組織化をどう進めるか
①できれば「拡大意欲のあるプロ農家」に頑張ってもらい、この農家に機関車となって走ってもらうことです。しかしこのプロ農家だけでもダメで、迷っている農家層も農業振興に巻き込んでいくことが必要です。
②農家が農家を育てる仕組みを作る必要があります。関係機関は機関車の馬力を上げるよう側面から支援したり、性能の良い連結器の働きをすることが期待されています。
5.「一点突破」で組織化の動きを作る
①組織化で重要なことは、計画づくりで終わることなく動きをつくることが大切であります。
そしてまづ一つの動きを作る「一点突破」してみることです。
②形式にこだわらずに、ひとつの組織化に向かい動いてみる、行動を起こしてみることです。
6.組織化を推進する集落座談会
①組織化に向かい開催する集落座談会では「不利益平等」が働き、これがくせものです。
②不利益平等原理が働く社会で、唯一皆を動かす論理は「危機意識」です。危機に直面し、集落(地域)は見事に反応するものです。
③我が集落(地域)で今後の農業を担う者がいなくなる。これ以上の危機はありません。
(大泉一貫氏の視点を参考に作成)