2.農業所得と利潤
[ 用語の意味・背景 ]
家族経営の目標は農業所得の追求であり、企業経営の目標は利潤の追求であります。この農業所得と利潤の内容について良く理解しておくことが大切です。
[ 概 要 ]
Ⅰ.農業所得
農業所得とは、一言で言えば「農業粗収益」から「経営費」を差し引いたものです。
農業粗収益は、言うまでもなく農業生産から得られた主産物の販売・自給の合計額ですが、通常、これに副産物の販売を加えます。
経営費は、種苗・肥料・農薬・電力・燃料等などの諸材料費と建物・機械施設等の減価償却費の合計額の「物財費」に雇用労賃・小作地地代・借入資本利子を加えたものです。
したがって、農業所得は農業生産のために農家が用いた自作地・労働力・資本に対する収益ということになりますが、その内容は、自作地の地代・家族労働力・自己資本利子が混然一体となっているので、混合所得とも呼ばれています。
なを、「家族労働報酬」という指標もしばしば用いられますが、これは農業所得から自作地地代及び自己資本利子の標準見積額を差し引いたものです。投下家族労働力に対する報酬の評価額と考えることができます。この金額から投下労働量1日当たり、あるいは1時間当たりの報酬額を計算して、自家労働の経済効率を他の農業者や他産業従事者と比較することができます。
2.利潤
利潤については、農業生産に用いられた自作地・家族労働力・自己資本のすべてを外部から調達したものとして、それらの見積額を費用合計に加え、それを粗収益から差し引いて求めます。
下記の図を見れば明らかなように、利潤は、農業所得から自作地地代・自己資本利子・家族労働費を差し引いて、なを残る部分ということになります。
企業経営は、自己資本と負債により資金を調達し、設備投資を行って経営を管理運営し、利潤の最大化を図ることを目標としています。利潤を生み出すことが出来なければ赤字経営となり、それが状態化すれば倒産を免れません。